マイナ保険証は本当に大丈夫なのか?

#デジタル庁のホームページより引用

じつは、このようなことが報道発表されているにもかかわらず、あまり知られていません。

マイナンバーカードの読み取りをするためのカードリーダーがイマイチであることは過去の記事で取り上げたとおりです。

このときに私は、カードリーダーの読み取りの時間がかかることを踏まえ、出来ることならば「駅の改札で使うような」方式にするべきだと提言したのは、このような規程があり、ICカードを内蔵した健康保険証が出来る方がよっぽど現実的であること、認証を取るときの方法も、顔認証以外の方法も取り入れるべきだと感じたのは言うまでもありません。

いまマイナカードから健康保険証機能を外す動きが増えていますが、こちらも実効性が低いことは既報の通りで、診療情報が反映されていないことが問題である。ことは各社論客が述べていますが、診療情報や調剤情報がリアルタイムで行われていないのは、調剤情報・診療情報は一度、審査機関でチェックし、薬剤の問題の有無、診療内容の不備がないかの有無をもって精査されたものが保険診療報酬として医療機関へ振り込まれる仕組みになっています。

そのため、医療DXといいながらも、診療情報・調剤情報がリアルタイムでないのは、その都度オンライン配信を行っているわけでない。ということに他なりません。

このお話には、さらに課題があり

1 診療報酬(医療機関)の配信が、「オンライン」でなく、「CD」または「紙」で行っている医療機関が一定数あること

2 マイナンバーカードのオンライン資格確認のシステムを導入していない医療機関が一定数存在すること(1の医療機関)

3 国のシステムが、診療情報・調剤情報をリアルタイムに送信するシステムでないため、遅れが出てしまう。

医療機関関係者(主に医療事務)の方はご存じでありますが、診療情報のオンライン請求は毎月5日~10日までと決まっており、その間に請求が出来ない場合は翌月まで保留になります。

また、オンライン請求の情報は、レセプト(請求情報)の不備があると、自動返戻(いわゆる審査却下)されることから、修正して請求を出し続けない限り、診療情報及び調剤情報が反映されないことは明らかです。

事実、診療情報はあくまでも「概略」しか反映されないため、例えば「診察」「検査」「処方」という形でコード化されており、薬局であれば「調剤」「調合(いわゆる一包化処理)」「指導」という形で記録されており、どこの病院でどういう薬が処方され、どの薬局で調剤して渡されたという記録が、リアルタイムで反映されるには

「毎日」オンライン配信出来るシステムへ移行するなどの抜本的な仕様変更が必要になるはずです。

その上で、毎月月末までに配信された診療・調剤情報を月末で締めて自動的に審査を行って、返戻レセプトの修正が1日から10日までに行えるようにするなどのシステム改修が前提ではないかと見ています。

この点が、つぎはぎのシステムであるとあちこちで絶えません。

もっとも、この仕組みの穴を突いているのが、同じ日に同じ診療科を受診して、同じように処方されても重複して受診していることを見抜くことは残念ながらできません。

それが、「月末まで情報」が反映されずというところです。

かつての健康保険証のように、「受診毎」に保険証に用紙に押印するシステムであれば、少なくとも重複して受診していることを確認できますが、今のカード型であればそういったことが出来ないため、不備があると言わざる得ません。

少なくとも、患者からの視点は「医療機関を受診した記録」をリアルタイムに記録出来る「チェックインと窓口支払」を出来るようにしてほしいと思うのです。

それが本来の医療DXであり、その後の「レセプト請求」に関する件は、医療機関側の事情であり、患者にとってみれば正直どうでも良いのです。

マイナカードを使い、保険証と連動させることにしろ、資格確認証を提示するにしろこういった情報反映のスピードがあまりにも遅すぎて「正直利便性が皆無」と感じます。

年末に確認したくても確認出来ないため、領収証をもとに集計するしかない点も事実です。

今の事情をもっと逆説的に言えば、

「マイナンバーカード(というよりマイナンバー)」と健康保険証を連携させて、健康保険証を医療機関へ提出すると「マイナンバー連携済み」とする方が現実的ではないか?といえるのです。

さらに、「健康保険証」に「顔写真つき」にする等、この点の仕組み作りもあわせてご検討いただきたいと思うのです。

マイナンバーカードによる受付の課題は

「処理に時間がかかりすぎる上、連携が面倒」

「受診後の情報反映が遅すぎる」

「マイナンバーカードのリスクが高すぎて持ち歩きたくない」

かくいう私は、マイナンバーカードを「金庫」で保管し、ほぼ持ち歩きません。

私の中のマイナンバーカードは「印鑑証明」や「住民票」を取得するためにあるのです。