カード決済の手数料は保険と思え

キャッシュレス決済黎明期のおはなし(2013年執筆)

※この記事は(2013年9月に執筆した原稿のアーカイブです)

私にとって、カード決済は「高額商品を買う一つの販促ツール」とみています。
しかしながら、カード決済の手数料に目がいってしまい、収益を圧迫する考えを持つ経営者は少なくありません。

カードの手数料は売り上げの5%が一つの目安です。
10000円なら500円で、入金も15日、月末でそれぞれ半月遅れで入金されます。

カード決済は、いわゆる身元がはっきりしている優良顧客と言う見方もできます。

手数料が気になるというなら、カードは一切不可というのも販売戦略上ありますが、施設においてカードが使えないのははっきり言いまして企業イメージ上あまりよくありません。
カードの手数料については、企業間の取引である程度対応できるレベルと認識しています。

売り上げを伸ばすツールには、カードは欠かせない。私はそのように考えています。

さて、じゃらん・楽天いずれのサイトも予約時のクレジットカード決済が標準で使えます。

じゃらんについては執筆時点(2013年9月)、クレジットカードは審査制で審査完了後の施設のみ対応します。
楽天に関しては、原則カード決済ができるように仕様変更され、じゃらんもいずれ同じ仕組みになると予想されます。
カード決済のメリットは、前者におけるカード手数料が平均5%に対し、予約時のカード決済は2%と実に低率です。

施設でカード端末の準備ができなくてサイト側(じゃらん・楽天)で対応していれば、施設側は何ら困るケースはなくむしろ便利だと考えます。

施設側は手数料が増えるだけでメリットは無いのか?といえばそうでもなく、宿泊プランによってはカード決済限定プランを作る事ができます。

「カード決済プランをなぜ作るのか?」という理由は単純な答えでして、キャンセル料の強制徴収ができる設定ができる事に尽きます。
つまり、「予約金が必要なプラン」の徴収は難しいが、カード会社に請求することで担保設定し、キャンセルになった場合は、予約した金額の全額を上限に回収できます。

実際、じゃらんや楽天において、カード決済の割合を調べてみましたが、一ヶ月の予約のうちおよそ10%がカード決済を選んでいます。(注:2024年現在はこの割合が90%近くまで上がっております。)
しかしながら、カードを利用するユーザ層は年代を問わず、幅広い利用者がいるのもまた事実です。
ホテルの売上においてネットでの売り上げ構成比は月間で10〜20%といわれています。つまり、じゃらん・楽天において10%がカードであれば、全体の利用のうち1%がカード利用者である。(現在はキャッシュレス率が高まっております)

私が予約サイトなどに関わらず、カードの利用は原則できるようにしてください。とお願いするのは、「カード」ができることは利便性がよいということになるのです。

私自身は、カードが利用できないとわかったら、その宿泊施設は候補から外します。
カード決済の手数料は「保険」としてみるべきで、私はこの点を特に説きます。

現金売上以上に、カード決済ができるメリットはお互いにプラスであると考えます。


2024年現在のキャッシュレス事情

紆余曲折を経て、いつのまにかキャッシュレスが当たり前になってきました。

決済手段もクレジットカードをはじめ、電子マネー・スマホ決済などその手段は多岐にわたり、特にスマホ決済の進化はめまぐるしいものがあります。

2013年の頃のキャッシュレス決済は、楽天・スクエア・PayPalと大きくこのような会社が先行しており、特に楽天のキャッシュレス決済のシステム・スクエアのシステムは業界を揺るがす一つの要因になりました。

しかしながら、PayPalについては、対面決済(オフライン決済)はサービスの持続性を出せず、早々にオンライン決済のみに特化し、撤退したことは記憶にあると思います。

その後、キャッシュレス決済の事業者は多種多様に広がり、楽天・スクエア・リクルートの主要3社のほか、さまざまな会社が本事業に取り組んでいますが、実質的には楽天・スクエアとリクルートの3社が有力ではないかと言うところです。

ただし、この3社は「加盟店要件」が厳格に決まっていることから、誰でも・もれなくということは無く、特に楽天は審査が厳しく、リクルートは煩雑であることからスクエアを推奨したいところですが、出来ることならば複数社と加盟店契約を締結してほしいと考えています。

どのようなスタイルが良いかは別として、可能な限り加盟店契約は複数社の契約を締結し、キャッシュレス決済が出来ない状況を減らす工夫は10年前以上に重要な状況といえそうです。