長崎市のAmazonの個人ドライバーが再びストライキ?

長崎市において、昨年に続き、再びAmazon配送ドライバーのストライキが勃発した。

今回のあらまし

長崎市内において、Amazonの荷物を配送するのが主に、Amazonが委託する(若葉ネットワーク社)が株式会社トランプ社に業務委託し、配送を行っている。

  • Amazonジャパン → 若葉ネットワーク → トランプ → フリーランスドライバー

先日配送トラブルの折、ドライバーにトランプ社の連絡先を尋ねたところ、そのドライバーはトランプ社ではなく、若葉ネットワークであるという。担当者とのやりとりはLINEで直接的な電話番号はわからない。(この件について、まだ調査段階のため詳細は不明)

2024年3月4日追記:NCC長崎文化放送で配送ボイコットを実施することが報道された。大混乱は避けられない事態。

関連ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/e2674c3deaf0adbacf61d1fee4d53dd5fb62c665

これが配達員の返事だった。また、Amazonの配送センタへ受取に行くということもできない。

実際のところ、このようなニュースが表面化する前から、Amazonの配送に関しては目に余ることが多く、幾度となく置き配においてひどい目にあった経験から、ヤマト運輸が配送または宅配ボックス(Amazonハブ)をつかったりするなどという対策を講じた。結果、自己防衛しか対策がとれない。荷物によっては、配送のみのケースもあることから、選択肢は非常に限られてしまう。

実際に、トランプ社の車両を最近は見かけることが減った印象があったのだが、全国ニュースに出ることも時間の問題と思っていた。過去の記事を見るとやはり同じような団体交渉があったことが報道されており、長崎市の配達区域が他の地域と違うと言わざる得ない理由である。

細かい話になるが、過去、実際Amazonの配送会社業務を別の会社が受託しており、こちらも諸事情で撤退。

しばらく、Amazonの荷物はヤマト運輸と日本郵便が手分けして配達をしていた。2022年秋頃から、Amazonの配送をトランプ社が手がけるようになってから、再びAmazon直営に戻ったというのが実際のお話というところである。

普段から気になっているのが荷物の仕分け方法が住所ではなく荷物の大きさ等で行われている。そのため、荷物の数だけドライバーが訪問するため、非常にやっかいである。

郵便局などをはじめとした物流会社は、できる限り1度にまとめて配送することを基本としていることから、午後からの荷物は午後から、夜間の荷物は夜間で最大で3回配達するようになっている。

Amazon配送ドライバーの抱える資質と問題

Amazonの配送で、実際に配達されて問題になったことは、荷物が路上に転がっていたことが散見され、配送の問題が顕著に表れていました。

路上に放置されたり、入口のドアの前においてあるため、ドアを開くと、荷物が転げ落ちる場所へ置き配が度々つづき、Amazonでの注文はコンビニや宅配ボックスへの配達へ切り替えることにした。

在宅にもかかわらず置き配して逃げるように帰る等、わたし自身が経験した事案は数知れず、延着・遅配・配達日に持ち出されないことも安く提供しているから、単価も当然のことかもしれません。

ただ、以前の情報を鵜呑みにできませんが、長崎市周辺は宅配会社にとって地獄で、車を止めてから数百段の階段を上り、不在票を投函する光景は決して珍しくありません。

この問題が発生してから、Amazonは受領印(通称:判取り)を省き、お客様との個人的な電話の情報を収集させないために伝票にも電話番号記載を省き、配達に関してはサイズに関係なく、置き配(判取り無し)を主たる配達方法になりました。

わたしの会社は車が横付けできるところにあるため、このような状況になりませんが、一般住居においてはこのような事情が多く、長崎市は配達エリアとして、かなり過酷です。

配達時間も午前7時から午後10時までの間という枠で1日100軒以上の荷物の配達を行うなどAmazon配送の規模は年々膨れ上がっています。

Amazonの配送は、委託会社(Amazonと契約した若葉ネットワークおよびトランプ社)とヤマト運輸・日本郵便・佐川急便などへ配送を委託するケースがあります。

現在の配送は、概ね委託会社とヤマト運輸の2社が長崎市内においては提供されており、離島などのエリアはヤマト運輸にて配送されていることが予想されます。(委託会社の業務展開ができていない模様。)実際に中小の配送会社もヤマト運輸や日本郵便に再委託するケースは多く、海外のDHLやフェデックスなどはその好例です。

同業他社の状況

佐川急便を事例にあげると、営業所がある地域は、直営+委託のケースで行っています。佐川急便の場合は、事業所は正社員・個人宅は業務委託というかたちで仕訳しております。ヤマト運輸も、これまでは直接雇用の社員で運営しておりましたが、通販向けの配送EAZYで行う場合は、ECドライバー(業務委託)が行うなど、こちらも佐川急便と同じ形態を取っています。

日本郵便については、今のところはその兆候は見られませんが、土日祝のバイク便を原則書留に限定したことから、ゆうパックの小物はバイク便、大物は軽バンで配達する等その日の物量で変わっている模様です。

佐川急便の場合、長崎県の離島に営業所がない新上五島町などは、直営(佐世保営業所)から完全委託で業務を行うため、一部の配送業務ができません。(佐川急便社員限定の取扱業務)

同じ離島でも、五島市は、直営(五島営業所)があるため、サービスレベルは新上五島町と異なります。

これは、一つの例としつつ、物流業界における「ラストワンマイル」問題は、佐川急便はメール便業務(飛脚ゆうメール)を日本郵便へ完全委託。ヤマト運輸もポストイン(ネコポス)・メール便(クロネコDM便)業務を日本郵便へ完全委託する形で宅配業務は3社それぞれ自社網で稼働しつつ、メール便業務は日本郵便へ完全移行という流れができました。

今回のAmazonの配送業務で長崎市だけがクローズアップされたことは、物量に対し、宅配エリアの難易度が高いことがあげられます。

特に表札が出てない・ナビなどで配達するにしても場所がわからず、電話連絡もほぼ困難なAmazon配送に比べ、配送データベースを構築している日本郵便など各社とは比較になりません。

今後の課題

今回の件で、申し上げたいことは、働き手はいる一方で、企業が採用する水準に見合うかどうかは別問題であるという点。

先日も、佐川急便の委託ドライバーを運営する営業部長が当社を訪ね、働き手を探している、求人情報誌にも掲載するがなかなか集まらないと話していました。

実際のところ働き手も雇用主も相応にいるにも関わらず、なぜその溝が埋まらないのか正直不思議でなりませんでした。(仕事はあるが、働き手がいない)

特に、今回Amazon配送の場合で言えば業務委託をするメンバー全員で協同組合を作り社会保険などの環境整備をすることも本来は必要と考えます。

この問題の裏に隠れた課題は「宅配ドライバーの無制限勤務」ということをどのようにしていくかにかかっています。

実際、雇用契約がある場合は1日8時間、インターバル時間(12時間)、超過勤務を含めた年間960時間勤務という制限があるものの、これが個人事業主(フリーランス)に適用されないところが法の隙間に感じます。

なぜならば、現在の法律において自営業者・法人役員については上記要件を満たさない(雇用者ではなく、事業主である)ことから勤務時間の上限という枠が無く、法律の穴をついた制度のように思います。

自営業者(フリーランス)の功罪

本来であれば、雇用契約であると考えるべき部分が、欠落しており偽装された雇用契約とみられても致し方ありません。

フリーランスであるということは、「労災」は一切適用されず、業務上のトラブルもご自身で解決しなければなりません。(一方で建設業については、下請けを主体としていることから、労災適用に関する整備は充実している)

もちろん、フリーランスであるメリットは労働時間に制約がないこと、収入についても歩合給であることは確かです。

給与所得者と違い、働いた分だけ収入を増やす可能性がある事業でもあります。また、給与所得者と違い収入の中から経費を算出し、利益を出すところは大きなことでしょう。

仮に給与所得者は会社で1000万の売上収入の中から経費を引いたうち一人あたり30万を給与所得とします。(従業員が10人いた場合と仮定)

実際、30万の給与以外に会社が負担する費用は保険・税金・社会保障などの経費があることから、実際に1000万の売上であっても、会社に残るのが10%前後というのは決して不思議ではありません。(人件費率を30%として計算)

一方でフリーランスの場合は、経費込みで100万手元に入ってくるので見た目では、フリーランスの方が給与所得者より多く見えるでしょう。しかし、給与所得者と違い、社会保障や家賃・燃料代などの経費もすべて自前で行う必要があることから、最終的に残る利益は30万円よりすくないことも多々あります。

また、給与所得者しか加入できない「雇用・労災・社会保険(法人代表者を除く)」はフリーランスだと加入できません。わたし自身、長らく個人事業主で仕事をしておりましたが、法人化を機に国保から社保へ移行しました。

なぜ雇用形態が業務委託なのかをよく考えなくてはなりません。

今後、どうしていくことが理想なのかは専門家の方のコメントが発表されることでしょうが、業務委託である以上、委託元と信頼関係が崩れると契約解除になっても仕方ない一面があることは事実です。

疑問に思うのは、配送の会社でなぜ、Amazonを選んだのか?佐川急便やヤマト運輸、日本郵便をはじめとした運送会社への就職は検討しなかったのか?

ということにつきます。

おそらく、日当が一般雇用より多く見えた(給与所得だと時給1000円~1200円前後・日当計算で8000円~10000程度)からすると多くみえたと考えます。

Amazon配送を選ぶ方の特徴としては、兼業・複業(副業ではない)の一つとして勤務しやすい点があります。

他の、運送会社の場合は兼業・複業を認めないケースが多く、当然同業他社への勤務を禁止する服務規程があることは容易に想像できます。

ライフスタイルの柔軟さを選ぶか、生活の安定を選ぶかは非常に難しい問題です。

ただ、今回の件で「優先すべきことはなにか?」をもう少し考えるべきではないかと思うのです。

優先事項として、主たる収入なのかあるいは自由な時間なのか、あるいは余暇を活用する副業なのかということです。

とくに、今の時期確定申告でAmazonの配送ドライバーはおそらく3月15日までに提出しなければなりません。

フリーランスであると言うことは、こういった税務に関することもすべて一人で行う必要があると言うことです。

わたしも自営業者の一人として今後の推移を見守ります。

Follow me!