PayPay決済手数料を正確に計算してみた

QRコード決済の革命児というべき、PayPayが10月から新料金体系に移行するとことが発表されました。(2021年8月19日発表分)

詳細ページ

主な内容は次の通りです

1 決済手数料のあらまし

手数料率について

1 決済手数料 1.98%(税込2.178%)
※10000円あたりの手数料は217円~218円

2 入金サイクルは毎月1回(末締めの翌日払い)
※現在額面に関係なく翌日振込(PayPay銀行の場合)

3 早期振込について(都度・指定金額以上)
1)振込利用料 0.38%(税込0.418%)
2)振込手数料 
PayPay銀行 20円
その他の銀行200円
※10000円あたり41円~42円+22円~220円

4 通常振込について(末締払)
1)振込利用料 0.38%(税込0.418%)
2)振込手数料 無料

5 従来通りの決済サイクルの場合(2022年4月以降予定)

1)最小振込額 100円に設定
※最小取引額100円の場合
決済手数料(2.178%)+振込手数料(22円/100円=22%に相当)+振込利用料(0.418%)=100円ー2.596円+22円
=75.404円(24.596%)

100円決済の場合は、およそ4分の1にあたり25%に当たる。

これが、10000円の場合は0.22%まで下がることから
決済手数料の総額は10000×(2.178+0.418)+22=279.6

となることから、通常の振込決済で試算すると100円の場合に必要となる手数料率は2.7%~3%前後という数字となる。

ここで浮上するPayPayが一番安い?のではなく、安く見せることがうまいということである。

実際に知りたいのは、料率ではなく「実入金額」であり、試算することによって10000円あたりの金額の指標は3~4%となる。

2 月額有料プラン(PayPayマイストア ライトプラン)について

初期費用 1980円(消費税別)

月額料金 1980円

決済手数料 1.60%(税込1.76%)

<無料プラン>と<有料プラン>の決済差額の損益分岐点は次の計算で求められます。

  • 売上高をSと定義します。
  • ※便宜上、数学的記述は無視しております。
    ※あらかじめご了承ください。
  • 1980円 + 1.6%×S<1.98%×S
  • 1980円 < 1.98% × S - 1.6% × S)
  • 1980円 < 0.38% × S
  • S > 1980円/0.38%
  • S > 521,052円(小数点以下切り捨て・消費税別)
  • S > 573,157円(小数点如何切り捨て・消費税込)

つまり、月額の手数料と料率を積算した結果、月間に約60万以上の取り扱いが見込める場合は損益分岐点(基本料金の固定費を回収可能)です。

売上高のペースからみて、実質の手数料がどの程度に反映するかを試算すると、次のようになります。

3 3%還元キャンペーンについて

今回、なぜ3%というキャンペーンを打ち出したのか?と言う疑問がぬぐえなかった私は、つまり一定金額以上の決済が見込めると手数料の補填が入ると言う仕組みです。

そこで、実際どのくらい手数料が発生するかを計算してみました。

これは、PayPay銀行を使い、これまでと同じ条件で振り込まれたことを前提とした手数料(売上高は消費税込で計算)

手数料速算表

(1)無料プラン(月額なし)

売上高固定費決済料率振込利用料振込手数料振込回数小計税込差引振込額実質手数料 
100,00001.98%0.38%20302,9603,25696,7443.26% 
200,00001.98%0.38%20305,3205,852194,1482.93% 
300,00001.98%0.38%20307,6808,448291,5522.82% 
400,00001.98%0.38%203010,04011,044388,9562.76% 
500,00001.98%0.38%203012,40013,640486,3602.73% 
600,00001.98%0.38%203014,76016,236583,7642.71% 
700,00001.98%0.38%203017,12018,832681,1682.69% 
800,00001.98%0.38%203019,48021,428778,5722.68% 
900,00001.98%0.38%203021,84024,024875,9762.67% 
1,000,00001.98%0.38%203024,20026,620973,3802.66% 
実質手数料が3%近くまで上昇する。

(2)PayPayマイストアライトプラン適用時(月額1980円)

売上高固定費決済料率振込利用料振込手数料振込回数小計税込差引振込額実質手数料差額
100,0001,9801.60%0.38%20304,5605,01694,9845.02%1,760
200,0001,9801.60%0.38%20306,5407,194192,8063.60%1,342
300,0001,9801.60%0.38%20308,5209,372290,6283.12%924
400,0001,9801.60%0.38%203010,50011,550388,4502.89%506
500,0001,9801.60%0.38%203012,48013,728486,2722.75%88
600,0001,9801.60%0.38%203014,46015,906584,0942.65%-330
700,0001,9801.60%0.38%203016,44018,084681,9162.58%-748
800,0001,9801.60%0.38%203018,42020,262779,7382.53%-1,166
900,0001,9801.60%0.38%203020,40022,440877,5602.49%-1,584
1,000,0001,9801.60%0.38%203022,38024,618975,3822.46%-2,002
従来と同じ条件で運用すると手数料が3%を悪のは40万円以上となる。

(3)その他の銀行 振込回数1回(従来の契約に準じた条件)

売上高固定費決済料率振込利用料振込手数料振込回数小計税込差引振込額実質手数料
100,00001.98%0.38%20012,5602,81697,1842.82%
200,00001.98%0.38%20014,9205,412194,5882.71%
300,00001.98%0.38%20017,2808,008291,9922.67%
400,00001.98%0.38%20019,64010,604389,3962.65%
500,00001.98%0.38%200112,00013,200486,8002.64%
600,00001.98%0.38%200114,36015,796584,2042.63%
700,00001.98%0.38%200116,72018,392681,6082.63%
800,00001.98%0.38%200119,08020,988779,0122.62%
900,00001.98%0.38%200121,44023,584876,4162.62%
1,000,00001.98%0.38%200123,80026,180973,8202.62%
月1回の場合は、ほぼ手数料のばらつきは見られない

(4)その他の銀行 振込回数1回(PayPayマイストアライトプラン適用時)

売上高固定費決済料率振込利用料振込手数料振込回数小計税込差引振込額実質手数料差額
100,0001,9801.60%0.38%20014,1604,57695,4244.58%1,760
200,0001,9801.60%0.38%20016,1406,754193,2463.38%1,342
300,0001,9801.60%0.38%20018,1208,932291,0682.98%924
400,0001,9801.60%0.38%200110,10011,110388,8902.78%506
500,0001,9801.60%0.38%200112,08013,288486,7122.66%88
600,0001,9801.60%0.38%200114,06015,466584,5342.58%-330
700,0001,9801.60%0.38%200116,04017,644682,3562.52%-748
800,0001,9801.60%0.38%200118,02019,822780,1782.48%-1,166
900,0001,9801.60%0.38%200120,00022,000878,0002.44%-1,584
1,000,0001,9801.60%0.38%200121,98024,178975,8222.42%-2,002
月額固定費の分が無料の分と変わるのが60万円以上からとなる。

手数料を計算すると、実質の手数料が税別2.5%前後で推移していることがわかります。

この状況から踏まえて、PayPayマイストアライトプランを適用する場合は、およそ60万円近くの売上が見込めなければいけません。

この状況から、実質的に発生すると見込まれる実質手数料は

PayPay銀行利用時

振込最低単価 100円以上

PayPayマイストアライトプランを適用したほうが良いPayPay決済高
年間 700万円以上(損益分岐点 573,158円/月以上・振込手数料は考慮せず)

このことから、手数料のPayPayマイストアプランの手数料率が取り扱いが低ければ低いほど負担額が非常に大きくなることがわかります。

3%という数値は、いわゆる激変緩和の目的があり、実質無料という打ち出し方を期間限定で考えているとみることができます。ただし、毎日振込に行う場合、660円の振込手数料が発生することから、悩ましいところです。

その他銀行利用時(毎日振込の場合)

振込最低単価 250円以上

ただし、毎日入金にした場合は、1ヶ月に必要な手数料が6,600円となることから、毎月1回(振込手数料無料)を選ぶことになるとになると見ています。

4 PayPay加盟店の今後

今回の事例を元に、どのような店舗がPayPayマイストアライトプランへ検討するのが良いかと言う一つの考え方です。

手数料を下げたいと言う店舗は、有料契約を行い手続きを行う。ただし、有料契約を行うと、最低限PayPayで60万円以上の決済額が見込めないと利用のメリットがないと言う点。年間の取扱高を考慮し、現状のままが良いか有料契約へ移行したほうが良いかは熟慮する必要はあると思います。

有料契約において、決済料率が3%前後にする場合の条件は、月間25万円

売上がある程度ある店舗については、業務に懐疑的なところからそのままの契約を続けると見ています。逆にこの状況を踏まえると、AirPAY QRのシステムを採用して一元的に管理することも視野に入れて良いのではないでしょうか。

AirPAYQR はこれまでのQRコードを読み込む方式でなく、タブレットやバーコードリーダーを用いて決済する方法のため、伝票単位でレシートが発生し、売上管理もしやすいメリットがあります。

ただし、決済手数料は3.24%になり、入金までのサイクルが月末締めの翌月末と最長で60日後入金になります。ただし、PayPay以外にもd払い、auPAYも取り扱いが可能になる点を考えると、検討の余地はあると思います。

かくいう私の会社は、QRコード決済はすべてAirPAYQRで一括決済を行っており、一部の楽天ペイなどは楽天ペイアプリを用いて個別に決済しております。

5 PayPay加盟店契約を解約後の対策

PayPayの取り扱いをやめるという加盟店が増えることは容易に想像できます。

これまでの経験で、PayPay加盟店契約をやめることは、売上減少を覚悟したことになるため、致命的な損失を被ることが予想されます。ただし、PayPay以外にキャッシュレス(例:クレジットカード)を導入している場合は、PayPayを解約しても一切支障ありません。PayPayのもたらした役割は、クレジットカードが利用できない店舗の代替手段であったからです。

PayPayの手数料がようやく平準化し、他の決済手数料は軒並み3%前後で推移していることも紛れもない事実です

ただし、PayPayしかキャッシュレスの決済手段を整備していない場合は、確実に売上減少の要因になります。

この件については、とある飲食店がクレジット決済手数料が高いと言う理由で、加盟店契約を解いたことに起因して、売上が激減した事例があります。

日頃から利用客はカード導入を希望しており、ついに団体で来店した顧客がクレジットが使えないと言う理由で利用を利用キャンセル、売上ベースで数万損失を出した事例があります。その結果、急遽クレジット端末の導入・QR決済を相次いで導入し、現在に至ります。

現時点でおすすめしたい選択肢は、クレジットカード決済の導入をお勧めします。

機器の選択肢として

1 (汎用)タブレット型クレジット端末(スクエア・AirPAY等)

2 (専用)クラウド型クレジット端末(ステラターミナル)

3 (専用)従来型クレジット端末(JET-S・INFOX・J-MUPS)

があります。

私の会社では、外出先は1を使い、店舗では3を使っています。

現状の流れと運用計画で見る限りでは、汎用の端末が一番安くて導入期間が0日というスクエアが超最速です。事前にクレジット端末とプリンタを準備できれば、相応の利用が可能です。

専用端末の2と3については、審査や初期費用および月額料金が発生することから、決して簡単に導入はできないこともまた事実です。

ただ、タブレット型の端末と違い、操作性は安易である点は注目するところです。

つまり、キャッシュレスを何らかの形で導入しなければいけない。

逆に言えば、キャッシュレスを一切導入しなくとも、利用客が納得できる商品・サービスを提供できるならばPayPayを解約してもなんら支障はありません。

キャッシュレスのもう一つの性質は「顧客サービス」の一環であると言う点。

特典があるキャッシュレスは各社工夫を凝らし展開しています。

店舗もそのキャッシュレス会社が展開するサービスの恩恵を何らか受けています。

今後キャッシュレスが確実に増えていくことから、現金流通が減る一つのきっかけになることは間違いありません。

PayPayの有料化はまさに、キャッシュレス環境構築の転換期を迎えたのかもしれません。

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