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2021年3月にクレジット決済サービスのスクエアが発表した新型端末のスクエアターミナル(Square Terminal)が発売されました。
海外では、すでにリリースされていたものが日本国内で、ようやくサービス開始というスクエアターミナル。今回は待望のPINコード入力に対応。非接触決済機能としてタッチ決済は海外でも普及しているものの、日本国内向けの独自仕様の電子マネー機能に対応した事は大きな特徴と言えます。
1:スクエアターミナルの特徴
端末は至ってシンプルな構造。大きさは6インチのスマートフォンに重りをつけた感じで、使い勝手はよい。
背面に、ロール紙を入れる事ができるなど利便性は高い。
全部セットで購入すると全部で53,740円
- スクエアターミナル本体 46,980円
- 専用ハブ 4,480円
- 交換用ロール紙 2,280円
Square Terminal | Squareショップ (squareup.com)
このほか、レシートプリンタの増設やバーコードリーダーの追加が可能です。さて、実際に導入してみた私のところで起きた事件はここから。
大喜びにポチって届いたところまではよかった・・。
ここから、思いもよらない事に気づく。
そこで従来のスクエアカードリーダーの比較を書いてみたいと思います。
2:スクエア決済端末一覧
項目 | カードリーダv1 | カードリーダv2 | ターミナル |
接続方法 | イヤホンジャック | Bluetooth | 一体型 |
クレジットカード | ○ | ○ | ○ |
電子マネー | × | ○ | ○ |
タッチ決済 | × | ○ | ○ |
ICカードの 取り扱い | サイン | サイン カードタッチ | PINコード カードタッチ サイン(2021年6月より) |
磁気カードの 取り扱い | サイン | サイン | サイン |
その他 | iPad必須 | iPad必須 | 端末一体形 |
機器接続の難易度 | 簡単 | 難しい | 不要 |
処理速度 | 遅い | やや速い | 速い |
レシートの枚数 | 2枚 | 2枚 | 1枚 |
3:スクエアターミナルの課題点
実は、ここで致命的な問題が発生。気づいた点は次の通りです。
(1)ICカードのサイン取引ができない
まず、クレジットカード決済を行う店舗の事情として、ICカードの暗証番号が不明な利用者は実に多く見られます。そのため、暗証番号(PIN番号)がわからない方の救済策として、サイン決済を承認している事があります。
この件については私自身も店舗運営している経験上、この仕様では非常に困るのです。
クレジットカードの暗証番号を把握している方は当店において、全体の90%以上とは言え、この誤差を切り捨てるかは非常に迷うところです。
また、購買層によってこの割合は変動します。
逆に、他の決済端末では対応できるならば、スクエアターミナルを導入するより、iPadとスクエアカードリーダを導入する方がよいのではないかという話になってきます。
理想はスクエアターミナルがサイン取引に対応できれば解決できると思います。
※すべての加盟店に影響
※2021年6月のアップデートにおいて、(1)の問題が解消されました。
(2)カード利用控えが原則1枚しか出力できない
もう一つの問題として、レシートが1枚しか出ないという件。仮にレシートを再度印刷することで2枚出せるものの、現場サイドで2枚同時に出すためには、プリンタをスクエアターミナルの専用ハブ経由で増設するしか方法がないのです。
レシートを2枚出すために数万円かけて追加しないと出せない仕様の話は非常に困るのです。
この件については、同業他社の「楽天ペイ」「リクルートのAirペイ」はいずれも対応しており、スクエアだけできないという訳にはいかないのです。
また、サイン取引がある場合およびスクエアリーダーでは可能なことを考えるとこの点も非常に悩ましい話といえます。
特に、レシートは店舗控えを「金券」としてレジに収納するため、売り上げ集計を行う場合、必須条件です。
この件については現金レジをスクエアですべて行っている場合は、レジ集計でカード・現金の仕訳ができるからよいものの、やはりジャーナルだけでは不十分と考える店舗は実に多い印象を受けます。(個別明細はなんらか必要)
いずれにしても、本件はシステムのアップデートで解消される内容のため、この件については開発チームに期待です。
4:他社決済端末との比較
(1)導入コスト比較
項目 | スクエア ターミナル | スクエア リーダー | 楽天ペイ | Airペイ |
端末価格 | 46,980円 | 7,980円 | 19,800円 | 19,800円 |
プリンタ | 内蔵 | 外付け | 外付け | 外付け |
mPOP 60,000円 | 対応 | 対応 | 対応 | 対応 |
iPad 40,000円~ | 不要 | 対応 | 対応 | 対応 |
Android 10,000円~ | 不要 | 対応 | 対応 | 非対応 |
モバイル回線 | Wi-Fiのみ | 対応端末あり | 対応端末あり | 対応端末あり |
プリンタなし 初期費用 | 該当せず | 17,980円~ | 29,800円~ | 59,800円~ |
プリンタ付き 初期費用 | 46,980円 | 77,980円~ | 89,800円~ | 119,800円 |
最小構成の場合スクエアリーダーが一番安価に導入できる。
レシート付きの場合は、スクエアターミナルが一番最安値。
(2)サービス比較
項目 | スクエア ターミナル | スクエア リーダー | 楽天ペイ | Airペイ | |
接続方法 | 一体型 | Bluetooth | Bluetooth | Bluetooth | |
クレジットカード | ○ | ○ | ○ | ○ | |
電子マネー ApplePay | ○ | ○ | ○ | ○ | |
タッチ決済 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
ICカードの 取り扱い | PINコード カードタッチ サイン不可 | サイン カードタッチ PINコード不可 | PINコード サイン カードタッチ | PINコード サイン カードタッチ | |
磁気カードの 取り扱い | サイン | サイン | サイン | サイン | |
iOS(iPadOS) | 非対応 | 対応 | 対応 | 対応 | |
Android OS | 非対応 | 対応 | 対応 | 非対応 | |
設定の難易度 | 非常に簡単 | 難しい | やや簡単 | 非常に難しい | |
処理速度 | 非常に速い | 速い | 遅い | やや速い | |
レシートの枚数 | 1枚 | 2枚 | 2枚 | 2枚 | |
クレジット決済 利用開始までの期間 | 当日 | 当日 | 1週間~2週間 | 2週間~1ヶ月 | |
入金サイクル | 毎週金曜日 | 毎週金曜日 | 翌日 | 月3回 | |
振込手数料 | 無料 | 無料 | 楽天銀行のみ無料 | 無料 |
Airペイと楽天ペイは同じメーカー製のカードリーダーを使用(Miura Systems Ltd)。
楽天ペイはOSおよび端末を問わず利用可能。
Airペイは指定端末1台のみ登録可能のため、再設定が必要な場合は別途センターへ申請が必要。
スクエアについても楽天ペイ同様ハードを固定する設定は行われていない。
従来型クレジット決済端末とスクエアの比較を次に紹介します。
5:従来型端末との比較
(1)従来型クレジット決済端末の利点
- 1 料率が相対で決まる
- 2 支払方法が多彩である(分割・リボ・ボーナス払い)
- 3 決済区分が多い(電子マネー・キャッシュカード決済)
- 4 レシート発行枚数が変更可能
- 5 動作が軽快(高速)で安定している
- 6 ICカードのサイン取引ができる
- 7 接続が電話回線・モバイル・有線LANと仕様が選べる
(2)従来型クレジット決済端末の欠点
- 1 入金サイクルが最大6ヶ月後の入金(ボーナス払い)
- 2 決済伝票を毎月決済センターへ送付しなければいけない
- 3 ハードウェア導入費用が高額(設置費用含めて最大20万円程度)
- 4 決済会社によってはデータ接続が電話回線になるため、通信速度が1~2分ほどかかる(LAN環境がある場合関係なく)
- 5 カード会社と個別に契約しなければいけない
※VISA・マスターおよびJCBは別途契約となる - 6 加盟店契約から端末設置の利用可能になるまでに最大半年ほどかかる
(3)スクエアの利点
- 1 申し込んだ当日からVISA・マスター・AMEXの利用が可能
- 2 JCBも順調に手続きが進めば1週間程度で利用可能
- 3 端末の準備が事前にできれば当日からカードの受け入れが可能
- 4 入金は毎週金曜日(指定銀行は月~金まで毎日入金)
- 5 端末が自社開発(同業他社はミウラシステム製品を利用)
- 6 自社開発のため、導入コストが圧倒的安価で提供(別表参照)
ハードウェア導入費用はスマホを持っていれば、7,980円でOK。専用端末を利用する場合もオプション品を含めておよそ55,000円。
店頭ではスクエアターミナル・外出先ではスクエアリーダーを利用する事も可能。この場合もアカウントは1つで大丈夫です。そのため併用も一つの選択肢です。
(4)スクエアの欠点
- 1 分割払・リボ・ボーナス払いができない
- 2 決済料率の個別交渉ができない(一律)
- 3 クレジットカード利用票の交付が利用者のみ(専用端末)
- 4 アプリの場合、個別設定が必要
5 専用端末の場合、サイン取引ができない(2021年6月よりプログラムアップデートにより可能になりました)- 6 スクエアアプリの場合、PIN(暗証番号)取引はできずサインのみ
- 7 電子マネー対応カードリーダーは磁気ストライプ取引が単体でできず、別途イヤホンジャックで接続となる
- 8 タッチ決済の場合、レシートが3枚出てしまい混乱する(サイン可否が店舗により分かれてしまう)
6:まとめ
まだ発売されたばかりのスクエアターミナル。日本的な言い方をすると、黒船来航というべき商品には間違い有りません。
スクエアターミナルはAndroidOSをベースにしたシステム故、アップデートもアプリ版と違い頻繁に行われる模様。
また、動作のメニューもAndroid版・iOS(iPadOS)版とも異なり、全く別物と思って良いでしょう。
スクエアターミナルは、買ったその日からすぐクレジット決済が可能となる事。この点は、他の決済サービスの追随も許さず、思い立ったその日から利用できる点は大きいです。
今後クレジットカード決済を検討するなら、スクエアも一つの選択肢に入れて良いでしょう。
これまで、iPadを購入する事を前提に展開していたクレジット決済システムが大きく変わったことは言うまでもありません。
今後の展開に注目です
スクエアターミナル商品紹介 カード決済端末 | Square Terminal
スクエア株式会社 URL https://www.square.co.jp