店舗をオープンする時にやっておきたい固定電話の手続のノウハウ

店舗オープンというものは、時間と予算の制約が多く、非常に面倒な事が多い事も事実です。

その中でどうしても重要なのに後回しになるのが「通信・決済」のインフラです。

私の会社においては、通信・決済を主体にしており、店舗オープンが決まると、まず通信から取りかかってしまいます。

オープンときくと「電話どうする?」というのが合い言葉みたいなところです。

さて電話の手続は結構重要にも関わらず手順を間違えると取り返しのつかない事になります。

特に光回線をメインとした契約が基本になることから、固定電話が決まらない、開通まで時間がかかるという事態が発生しています。そういった状況を回避するため、様々な方法で固定回線を確実に開通させるノウハウをご紹介いたします。

1)固定電話のあり方

現在固定電話の契約タイプは大きく分けて3つです。

1 従来からあるNTTの固定電話(アナログ電話)
2 光回線・ケーブルテレビの固定電話(IP電話)
3 携帯電話回線をつかった固定電話(モバイル電話)

と3つのパターンがあります。

固定電話が必要か不要か?という件については、2022年現在においてはまだまだ必要です。

固定電話は5,300万回線という数字に加え、携帯電話の1億8,000万回線という事実は変わらず、すでに日本国民の人口以上に電話番号があふれています。

そのため、固定電話をあえて「引かない」という選択肢も出てきたこともまた事実です。

2)固定電話のメリット

「固定電話=地域を特定できる」という大きな利点は今後も変わらないことでしょう。
ただ、それ以上のメリットはなく「名目」か「集客」かにおいて異なり、名目として固定電話がある場合はほとんどの場合において「不要」と見ています。

固定電話がなければできないサービスの例

  • 電話帳掲載
  • カーナビゲーションへの登録
  • 社会的認知度の向上

3)固定電話のデメリット

当然ながら電話番号をオープンにすることによる「営業電話」は増加することから、その分のデメリットはあります。また利用頻度において「コスト」は相当かかることもあり、非常に迷うところです。

固定電話の重要性

このようなことから固定電話をどのように手続きしたらよいか?というノウハウが実は少なく、あまり知られていません。
店舗をオープンするにあたって、電話番号は「看板」「申請」などにおいて絶対的要素 になります。

業態によっては携帯電話のみでよいケースがありますが、ほとんどの場合、携帯電話のみでは業務に支障がでるのもまた事実です。

固定電話の契約方法とその手順

固定電話の契約方法はNTT西日本NTT東日本に連絡することから始まります。

電話番号 0120-116-116

ここでインターネットを開通する前に電話番号を確定させたいので、事前に電話回線の契約を締結したい。ということで相談します。

※工事内容は派遣工事なし、交換局工事のみで依頼します。

その際、NTTの電話加入権を保有またはフレッツ光の契約がある場合は、本人確認資料は必要ありません。

(参考)※本人確認資料※

  • 運転免許証(有効期限内)
  • 国民健康保険証(有効期限内)
  • 住民票(3ヶ月以内の発行)
  • 法人登記簿謄本(履歴事項全部証明書)

など

契約回線について

  • 契約プラン INSネット64(ISDN回線)またはINSネット64ライト
  • オプション(1) iナンバー2(FAX回線が必要な場合)
  • オプション(2) INSボイスワープ

の2つを契約します。INSボイスワープを契約するメリットは、電話回線を最短で開通できる上、携帯電話や他の固定電話への転送が可能になるため非常にメリットがあります。電話番号は同時に3番号まで取得できるため、複数回線を取得したい場合などは1契約で済むことから非常にメリットがあります。

固定回線の工事費

工事費は2,000円~2,800円(消費税別)

またこの工事は「交換局内工事」を行うため、依頼から1週間程度で利用可能になります。立ち会いも必要ないため、メリットは非常に大きいです。

回線工事の契約に関する計画案

固定電話の回線が契約できると次にできる方法は

「IP系」に移行

「モバイル系」に移行

の2つに絞られてきます。

ISDNの料金は概算で毎月4,000円ほどかかります。(通話料別途)

IP系のひかり電話は月額500円から可能なことを考えると、ひかり電話を選択するのは非常に便利です。

ISDN回線の最大の欠点は、専用機器(ISDNターミナルアダプター)の購入が必要になることから、誰でももれなくというわけにはいきません。この点も、注意が必要といえることです。

そのため交換局内工事で依頼すると、ISDNターミナルアダプターの設置は不要となり、電話についても転送を契約時点でかけることができることから、そのメリットは多大な効果を生むと考えています。

ISDN回線がつなぎであるという理由

ISDN回線は、基本的に「光回線」などの契約の際、同時切り替えという手法が日常的にとられることから、開通にあわせて「電話回線」を光回線へ集約することが行われています。

そのため、ISDN回線がつなぎであるという理由は、決して間違いではなくNTT側としての利用方法においておかしいということではありません。

光回線の工事は最短でも2週間から1ヶ月以上はかかるため、最短で1週間程度で開通するISDNやアナログ回線は大変便利なサービスといえます。

また、前述したとおり「契約移行」に唯一対応している点も大きく、制度的に活用しない手はないと考えています。

ISDNやアナログ回線以外の場合(NTT以外の場合)

ISDNやアナログ回線以外の場合はどうなるのか?といえば原則として「NG」です。

原則と申し上げるのは「KDDI」系に関しては、IP電話の回線卸を行っているケーブルテレビ事業者との互換性があるため「auひかり電話」から「ケーブルプラス電話」への移行は可能です。

ただし、電力系・ソフトバンクから発番された電話番号については相互乗り入れの契約ができないため、こちらもNGとなります。

NTTのひかり電話専用番号の場合

こちらもやはりNGです。互換性を持たせたサービスでないことから、アナログやISDN回線との整合性がとれず、単独で利用できないのが実情です
※2024年以降は制度が変わり単独発番される可能性あり。

一覧表にまとめると次の通りです。

移行前/
移行後
アナログISDNNTT
KDDI
KDDI
CATV
SB
固定
電力系備考
アナログ条件なし
ISDN条件なし
NTTひかり××××××
KDDI光×××××
KDDICATV×××××
SB固定××××××
電力系××××××

まとめ

このサービスを利用することによって、店舗の電話番号問題を一気に解消できることから、光回線の工事が遅くなっても、店舗オープンに影響することに限局的であるのです。

今回のポイントは、ISDN回線は「常時利用」ではなく、店舗オープンまでの「一時利用」の回線であることです。

この点は20年前まで主流で使われてきたサービスではあるものの、現在は他のサービスのつなぎ回線としての利用です。

基本料金もサービスも20数年前と同水準であるものの、電話番号を確定させたい、安定した電話回線を確保したいというニーズにおいては現在も健在です。

電話機を置かなくても、仮設の状態で電話回線工事ができない場合も十分対応できることから制度的には有用なサービスであると考えられます。

ただ、電話の転送ができるのはISDN回線に限られていることです。(アナログ回線の場合は派遣工事が必要となるため注意が必要)

ネット回線に限っていえば、モバイルルーターを設置する「ホームルーター」方式が活発になってきました。
au・ソフトバンクにくわえ、docomoも同じようなルーターを設置していることから仮設も可能です。

おうちでんわなど携帯回線をつかった場合も固定電話という立て付けになっていることから選択肢の幅が広がるため、万が一電話回線が引けないという事態に発展しても、このサービスにおいて回避することは可能です。

現代のネット環境は劇的に向上していることから、光のみとか、モバイルのみではなく、どちらも併用しながらよいところをうまく組み合わせるという方法が現代社会において利便性の高い話になっているのかもしれません。