バイオラボ破綻からもうすぐ丸一年、第三回債権者集会を前に

昨年の9月1日に、バイオラボが破綻して丸一年が経ちます。
今年2月の債権者集会が始まって、8月7日に開催される第3回の説明会で約半年が経過しようとしています。
長崎県の公金があぶく銭となり、長崎市の補助金は虚偽記載の疑いで告発される事が決まるなど、破綻後に発覚した内情はどれもよろしくありません。
ただ、これがこの会社だけなのか?と言えば、正直違うと思います。
私自身は、過去にベンチャー支援センターの入居を2001年に希望した事があり、審査を申し入れましたが
あっさり却下されました。
もちろん、私自身の力不足が要因だろうと思いますので、正直な所、これでokが出ていれば、今の自分は無かったかもしれません。
その後、ベンチャー支援センターがあるか?と言えば、すでに違う組織に衣替えされており、当時の面影は何もありません。
では、このベンチャー企業で今も現存する企業がどの程度あるか?と言う事に関心は行くと思いますが
こちらも、3分の1も残っておらず、入居後まもなくして破綻した企業は数知れずです。
それほど起業することよりも、経営を維持する事の難しさを肌で感じ、補助金等に頼る事は良くないと実感した時でした。
バイオラボの収支は、常に補助金や出資金を募ることで経営をしていた実態が明らかとなり、これは先に述べた、ベンチャー企業の破綻と同じ結果だったという事です。
今回の件とこれまでのベンチャー企業といわれた会社の大きな違いは、「公金としての出資額が目立っていた事」と「県広報誌で大々的に取り上げた」事など、その背景はこれまでのベンチャー企業との位置づけが違う事を明文化したようなものです。
社員が10数人(役員含む)として、年間の売り上げが2000万円無かったと言う実体は、会社の経営どころか、個人企業として見た場合においても、すぐに破綻するレベルです。
一般的な個人企業とした場合の経費(社長・事務員の二人で計算した場合)
*仕入れ原価 100万
*地代家賃   80万(駐車場・家賃含む)
*通信交通費  50万
*運営経費  100万(消耗品・水道光熱費等)
*従業員経費 200万(諸経費・給与含む)
経費合計   530万
それから、年商を800万として、粗利が270万円
※上記の数字はあくまでも仮です。
その中から、基礎経費などの控除を行い、最終的な利益は50万円程度でしょうか。
それから「税金」が天引きされ・・・来年度の納税額が決まったりと・・・運営する
っていうのが、ざっくりしたところですが
従業員がひとり増えれば、こういう中小企業でも相当な経費が計上され、10人であれば軽く2000万円はかかる計算です。
バイオラボの場合、私が把握しているだけでも13人という話ですから、仮に税込み年収200万としても、13人であればざっと2600万円の経費はかかる計算です。
そうすれば、年商が2000万円だというのは、下手すると年間の従業員給与の経費すらも出ていないと言う事は想像がつくのではないでしょうか。
詳しい財務については、私自身は専門家でありませんし、関係者でも無いため、真相は不明ですが
次の債権者集会では、どのような事を発表するのか分かりませんが
ベンチャー企業ということで、資本増強よりも
「経営ノウハウ」と「長期経営」していく力が大事だと思うのです。
少なくとも、今回の失敗は「バイオラボ社長」において、大学と兼業していた事に尽きます。
つまり、失敗しても「大学」で仕事ができる
と言う甘い考えがどこかにあったからと思うのです。
本来であれば、大学は辞めるべきだったのです。
私も昔兼業していた頃がありましたが、今ほど業績は伸びていませんでした。
ある事をきっかけに専業にし、月並みではありますが業績を伸ばしていくことができました。
ただ、兼業していた頃に比べ、結果を残さなければ食べていけないと言う恐怖が常につきまとう為、毎日がサバイバルゲームです。
バイオラボの方にそのような、危機感を持って経営に当たっていたのか?と言うのは、疑問に残ります。
兼業がダメだとは言い切れませんが、やはり、ウェイトが高い事業に時間を取られてしまうのは良くありません。
バイオラボ社長は、現に大学の専任教授だった事を考えれば、経営の初心者であっても、会社へ常にいるべきだったのです。
要するに覚悟が足りなかったのではないかと思います。
もし、会社業務に専念していたら、きっと補助金に頼ることよりも、経営をしっかり見据える事ができたと思うからです。
誰もが「経営」なんて言うのは0からのスタートであり、失敗の連続です
私はほとんど失敗ばかりですから、偉そうな事を言える立場でありませんが
「せめて、10年は続けて欲しかった」できれば「どこかの企業に引き継いでもらいたかった」
と言う思いがあります。
バイオラボの事はあくまでも、氷山の一角にすぎず
すべてのベンチャー支援を受けている企業において、このようなリスクがある事を体現した事例として今後も戒めとして記録に残る事だと思います。

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